移民としての立場からみた事件

先週の金曜日、ニュージーランドのクライストチャーチで起こったモスクでの銃乱射事件は、シンガポールでも大きな衝撃をもって報道されました。

私も、ニュージーランドは、安全、原発がない、保護者ビザがある、などの条件で、親子留学の候補地として挙がっていた国であり、

現在シンガポールにおいて、移民(外国人労働者)という立場上、非常にショックを受けています。

今回の事件は、自国民の権利や労働機会が失われるという危機感と、宗教とが複雑に絡み合った移民政策の問題との見方もあります。

犯人はニュージーランド人ではなく、オーストラリア人と伝えられていますが、

たまたまニュージーランドで起こっただけで、今世界中どこでも起こりうることだと思います。

生活のなかに溶け込んでいるモスク

ニュージーランドでは、2か所のモスクが襲撃を受けました。

日本ではあまり馴染みのないモスクですが、シンガポールでは一定の範囲にモスクがあります。

私の家の近くにもあって、近くを通るとアザーンが聞こえたり、職場近くのモスクでは、お祈りの時間になるとたくさんの人々が集まります。

ヒジャブ姿の女性も普通に見かけますし、ハリラヤプアサやハリラヤハジなど、イスラム教の祝日もあります。

最新の統計によると、シンガポールにおけるムスリムの割合は約14%で、ニュージーランドの1.2%よりずっとずっと多いのです。

シンガポール政府の方針

移民問題が顕著化しているドイツでは、例えば、私が娘と一緒に親子留学をした場合、

永住権を持っていなくても、子供が25歳になるまで月に2万円ほどの子供手当が支給されます。

また、フランスでは、外国人であっても公立の学校においては学費無料で教育が受けられます。

一方シンガポール政府は、移民政策として外国人労働者を受け入れる傍ら、自国民の権利や雇用機会を守る政策を近年強化しています。

シンガポールでは、学費がほとんどかからない公立の学校で外国人が教育を受けることは困難ですし、

外国人の就労ビザ取得は年々ハードルが高くなっています。

宗教に関しても、モスクの建設場所は政府によって管理されています。

最近は、宗教関係者の頻繁な入出国が、どの宗教、宗派に関わらず制限されるようになりました。

シンガポールも例外ではない

シンガポール人は、外国人労働者に自分たちの権利が脅かされていると感じているのでしょうか?

異宗教に対してどう受け止めているのでしょうか?

週末、シンガポール人とこの事件について話をする機会がありました。

私は「外国人労働者が約3割を占め、ムスリムが少なからず存在するここシンガポールでは、

ある特定の人種や宗教に対しての差別的なものはほとんどないのではないか?」と聞きました。

すると友人はしばし考えてから「差別は残念ながらある。シンガポールでも起こりうる事件だと思う。」と言いました。

「外国人に要職を占拠されていると感じるシンガポーリアンはいるし、特定の国の人々や宗教は、できることならば、自分たちの近所には来てほしくない、と思っているシンガポーリアンは多い。」と彼女は言いました。

彼女の発言のなかに日本人が含まれているかどうかは聞いていませんが、

もしかしたら、日本人がシンガポーリアンの就労機会を奪っていることがあるかもしれません。

多様性と表裏一体をなす移民政策は、今後の日本においても重要な論点になってくるでしょう。